在宅療養中のトラブル .1
12月20日

私のALSの4大障害の発症順位を挙げると、次のとおりです。

運動機能障害
コミュニケーション障害
嚥下障害
呼吸障害

発病後、わずか4年でALSの総ての重い障害が襲い掛かかり、
不動の身体となり、寝たきりの生活を強いられています。
あらためて、進行性神経難病の恐ろしさを実感してるところです。

T厚生病院に入院中に、安全で安心な在宅療養生活が出来るように、
看護の仕方をご指導いただいたり、訪問看護ステーションKとの引継ぎを
2ヶ月掛けて行ないました。

また、医療、福祉、介護の支援体制を確立していただきました。
お蔭さまで退院から在宅療養への移行が円滑に行なわれた事に
感謝しています。

ところが、退院から6ヵ月後の在宅療養生活で、「呼吸困難」の
トラブルが発生し、緊急入院をする事になったのです。

 04.05/21-06/04 呼吸困難 T厚生病院内科へ入院

今、考えて見ると、間接要因と直接要因の次の2点にありました。

<間接要因>
発病後4年頃の2003年(59歳)10月14日、T厚生病院で気管切開手術をし、
人工呼吸器 【タイコヘルスケアジャパン(株) Achieva】 を装着しました。

改造人間になった自分、痛む傷、失われた身体機能などを考えると
パニックになり、眠れない夜が10日余り続きました。
そんな時、人工呼吸器の快適な設定値の決定のための冷静さが
失われていたような気がします。

人工呼吸器は自発呼吸の換気量、換気回数や吸気時間と合って来ると、
とても快適になります。
医師と相談しながら設定値を決めなければなりません。

しかし、人工呼吸器の快適な設定値の決定は、あくまで自己責任で
行なわなければならない。
何故なら、人工呼吸器は身体の一部であり、自分以外に快適な設定値の
決定は不可能だからです。

私の設定値は下表の変更前に自分の意志で決定しました。
これは、睡眠時や寝たきりの生活には快適な換気量でした。

しかし、身体に負荷のかかる食事中の約2時間は心拍数が
100前後(通常は60台)まで上昇して、とても息苦しいのです。

栄養の滴下速度をゆっくりにしても状況は変わる事はありませんでした。
このため、食事恐怖症になり、なぜ、動悸し息苦しいのか常に
疑問を持っていました。


人工呼吸器の設定値の変更

変更内容
設定項目 変更前 変更後
実施日 03.10/14-06.01/04 06.01/04-現在
換気量 550ml/回 600ml/回
換気回数 14回/分 15回/分
吸気時間  1秒/回  1秒/回
血中酸素SPO2  97〜98% 98〜99%
換気量(分) 7.700ml/分 9.000ml/分

変更理由
 自発呼吸が全く出来なくなった
 血中酸素の値が98から97%と下がったこと
 毎食事中や食後、30分間位動悸し息苦しくなること
 時々、目が霞んで見える事がある
 換気量の目安とされる15ml/kgよりも少なく、息苦しいこと

変更前の設定値が明らかに換気量不足であると言う確信を得たのは
次のホームページからでした。

   「神経筋難病情報サービス」
    http://www.niigata-nh.go.jp/nanbyo/
    →筋萎縮性側索硬化症(ALS)
     →ALSについてよく聞かれる質問
      →流動食を注入すると動悸がするのですが?

早速、在宅主治医に連絡して、人工呼吸器の設定値の変更を
お願いしたのは、初期設定から2年2ヶ月以上も経ってからのことでした。

変更後の換気量は毎食事中や食後、30分間位動悸し息苦しくなることが
解消され、とても快適になりました。

本来、人間の換気量は日常生活の動作や運動量によって変化する筈です。
その「最大値」に人工呼吸器の設定値を合わせなければならないのです。

自分の勉強不足と決断力の無さが換気量不足のまま2年以上にわたり
苦しんだのは自業自得だと反省しております。

<直接要因>
人の命に関わる医療機器は安全性、信頼性を最優先にした品質が
確保されなければなりません。

人工呼吸器を装着した人にとって、吸引器は喀痰の動作をする
大切な身体の一部であり、タンの吸引は最も大切です。
何故なら、タンの吸引がうまく出来ないと、呼吸困難になるからです。

在宅療養が円滑に行なえるように、入院中に吸引器のカタログを
色々と調べ、吸引力、3電源方式、携帯性、運転音が静か、ホースの
収納に優れていると言う点から次の機種を選びました。

 03.11/20 某メーカー パワーミニック VL80 公費一部支援有

ところが、「呼吸困難」のトラブルが発生し、緊急入院をする事になった
前日から、吸引器の吸引力不足を感じ、妻に訴えました。

妻は慌てて取扱説明書を読み返したり、吸引ボトルの設置を色々と
変えて見ましたが結局、吸引力不足を解消する事は出来ませんでした。

妻はタンが出易いようにと、胸のマッサージや寝返りを何度も
繰り返しながら、吸引を試みましたがうまく吸引が出来ず、
呼吸困難に陥り死の恐怖を感じました。

直ちに、在宅主治医に連絡して、T厚生病院に緊急入院をする
手続きをして頂きました。

救急車に揺られ、病院に到着してから直ぐに吸引をしたら落ち着きました。

身体の大切な部位(肺、目、耳など)は2個あるように、
吸引器も万一に備え2台用意しなければならないと痛感した次第です。
吸引器を修理依頼すると同時に新規に購入をしました。

 04.06/02 エア、ウォ-タ-(株) バキュエイド 7305P-N  73,500円
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ホームコンサート
11月26日

友人のT氏のご厚意により、第2回ホームコンサートが次のような要領で
行なわれました。


  と き 2006年11月26日 開演:13時30分 閉演15時30分
  ところ 我が家 和室
  テーマ Home Concert ホームコンサート♪〜(おもちゃBAND)
        シンセザイザー アコーディオン サキソホーン
        ギター ピアノ フルート クラリネット(ゲスト演奏)

プログラムは、B5判で色上質紙4枚綴りの立派なプログラムが、
T氏によって配られました。

T氏の情熱とこだわりが伝わって来る内容でした。

 第一部 おもちゃBAND演奏♪〜
上記の楽器による合奏やソロ演奏に酔いしれました。

 第二部 ゲスト演奏/合唱(みんなで歌いましょう!)♪〜
友人のS氏のクラリネットの演奏後、プログラムで用意してくれた
歌詞を見ながら、演奏にあわせ、みんなで歌いました。
会場は一体となり大変盛り上がりました。

 第三部 カラオケ♪〜
有志による自慢の咽喉を披露してくれました。
聴衆はプロ級の美声にすっかり魅了されました。

T氏は、私と同じ東北地方の出身で、S電機鰍フ同期入社です。
ですから、寮生活や職場を共にした仲です。
T氏は、優秀な技術者であり、アイデアも豊富で、永年設計に
携わっていました。

一方、趣味は多岐にわたり、とにかく凝り性なのです。
特に、音楽の才能は抜群です。
会社でジャズバンドを結成して、指揮者をする程の腕前です。
ですから、楽器の演奏もあらゆるものを器用にこなします。

T氏は定年退職後、この特技を生かし、ボランティア活動をしている
優しい心の持ち主です。

バンド仲間とは、職業、年齢、住所が異なるため、練習もままならず、
ぶっつけ本番で演奏したり、一人で慰問演奏に良く出かけるそうです。

我が家にも、度々、一人で「音楽の出前」をしてくれます。
リクエストに応える優しい気持ちと、楽しそうに弾くピアノ演奏には心が
癒されます。

ゲスト演奏のS氏の話によると、この日のために、勤労感謝の日に5人が
集まり練習を行なうほどの力の入れようだったそうです。
病気の友達を思う気持ちはあっても、行動に移すのは相当の思いやりと
愛情が必要です。

本当に、友達は何よりの宝です。

このように、真心のこもった演奏を私のために実施して下さる事に
本当に感謝です。
また、一人でも多くの人に聞いて欲しいと思うようになりました。

第1回ホームコンサートは04年9月に、友人を主体に総勢24名集まり、
楽しい時間を過ごす事が出来ました。

今回は、友人や闘病仲間の家族など、総勢23名が集まりました。
生演奏やカラオケに聞き入ったり、合唱したり、楽しい時間を過ごす事が
出来ました。

友人よ!
素晴らしいホームコンサートを、本当にありがとうございました。
そして、多くの人々に支えられ、生きる勇気と元気を頂いた事に感謝します。

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難病療養者のつどい
11月11日

群馬県難病相談支援センターの開設3周年記念行事として
【難病療養者のつどい】が次のような要領で行なわれました。

  と き 2006年11月11日(13時30分〜16時)
  ところ 群馬県社会福祉総合センター(新前橋)
  テーマ 難病療養者のつどい
         体験談発表 スライド 特別講演

 第一部 体験談発表

病気と共に地域の中で〜重症筋無力症と共に 白澤 恵美子
  重症筋無力症を患いながらも、社会貢献に生き甲斐を見出した事は
  ご立派ですね。

リウマチと共に生きる   長嶋 慶子
  永年にわたるリウマチとの闘病生活の中から、生き甲斐を見出した事。
  原稿を見ない発表態度はご立派ですね。

二度の手術に耐えた娘に拍手   三木 智美
  大動脈弁上狭窄を患っている娘に対する親の愛情や手術前後の様子など
  が克明に報告されました。

ALS患者の衣食住   村田 波廣
  永年ALSを患い、在宅療養生活を送っていると、衣食よりも特に、
  住環境の変化が 「
生き甲斐」 に与える影響が大きいような気がします。

人間が生きて行くために必要不可欠な 「
衣食住」 の他に、もうひとつ
大切なものを付け加えるならば 「
家族の絆」 があります。
※ホームページの 【近況報告】にある、
 ☆2006年9月20日 【ALS患者の衣食住】 で全文参照可能です。
 
発表方法は、伝の心の「全文読上げ」機能をマイクで拡声する。
読み方の異なる部分は片仮名で、間の取り方は句読点で調節する。

 第二部 特別講演   講師ー谷口明宏 先生  愛知淑徳大学 教授
  演題ーともに生きる社会を築いてくためにピア・サポーターの重要性を考える!

ユーモアがあり、元気を貰う事が出来た講演内容でした。
これは、ご自身の持つ障害を認め、自分を好きになり、努力した結果、
教授にまで昇り詰めた体験から来る説得力であり、
ピア・サポーターそのものでした。

ピア・サポーター(仲間の支援者)は、闘病仲間の不安、
悩みや疑問に応える事の繰り返しによって培われていく。

難病とは?
原因不明で、治療法が未確立であり、かつ後遺症が残るおそれが少なくない疾患

経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみにとどまらず介護等に著しい
  人でを要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾患

難病は病名ではなく、上記のように定義付けられております。
あえて、疾患名を挙げるならば、121疾患あるそうです。

疾病別患者会は縦串の機能があり、難病相談支援センターの存在や
【難病療養者のつどい】 は、難病を結ぶ横串の機能があるのではないかと
感じました。

このような活動が継続的に行なわれる事が、横串の機能の強化に繋がり、
更に、縦串の機能と結び合ったとき、ゆるぎない強固な組織となり、
難病の解決のための近道になると信じています。

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排泄の問題
10月20日

排泄の問題は食事の問題と同様に重要な問題です。
しかし、それは次第に衰えて行く身体機能との戦いでもあり、
羞恥心との戦いでもありました。

健常者が人前で、寝た状態で紙おむつに排便する、寝た状態で尿器に
排尿する行為にはかなりの抵抗があるようです。
しかし、徐々に進行して行く運動機能障害が、その抵抗や羞恥心を
取り除いてくれるのです。

今では、ALSは難病中の難病であることを総て受け容れ、自他共に認める
重度障害者です。
そして、介助(下の世話)をしてくださる看護師さんや家族に感謝する毎日です。

歩行可能期(99年秋頃〜01年07月)<55歳〜57歳>
足や手に異常を感じ、病院を巡り歩き01年04月27日(56歳)に
ALSの告知を受けました。
進行する病気に備えて住宅改修(01.08.29完成)を行ないました。
スロープの設置/段差の解消/廊下、トイレへ手摺りの取り付け
ウォッシュレット(ワイヤレスリモコン付き)の設置をしました。
この期間は、手や足の不自由を感じながらも、自力で排泄の動作が
出来ていました。

歩行困難期(01年07月〜03年10月)<57歳〜59歳>
次第に衰えて行く身体機能(手、足、首、声)に不安を感じながら、
残存の身体機能を活用すると共に失われた身体機能を補うために、
家族の介助や日常生活用具の助けを
借りる辛い日々が続きました。

しかし、病院や福祉施設は勿論ですが、デパート、ホテル、公園、
パーキングエリアなどにも 【身体障害者用トイレ】 が設置してあり、
暮らし易い希望が持てるバリヤフリー社会が応援をしている事に気が付いた
時期でもありました。

<福祉用具レンタルサービス利用>1割負担
車椅子(自走式、屋外用) 01.07.16-03.09.01
電動ベッド(3モータ式) 01.12.03-03.12.10
車椅子(介助式、屋内用) 02.01.19-03.12.28
車椅子(ヘッドレスト付) 03.09.01-04.06.30

<福祉用具購入>1割負担 ※全額負担
登山用杖 01.06.08 長女からの誕生日プレゼント(57歳)
ワイヤレスチャイム - トイレからの呼び出し用(足で操作)
尿器 02.12.05 トイレまで行けない(腰痛)

<福祉車両購入> エステマ購入(助手席移動、リフト付)02.06.29
トイレへの移動の介助 自宅の場合:杖→手摺り→車椅子(介助式、屋内用)

外出の場合:普通車→福祉車両→車椅子(自走式、屋外用)
いずれの場合も妻の介助が必要でした。
衣服の脱着の介助 ズボンのボタンを外したり掛けたりする事が出来ない。
また、チャックやズボンの上げ下げが出来なくなりました。
便座への離着の介助 車椅子から便座への移乗は180度の方向転換が必要なため、
介助する妻は大変苦労しました。
また、一旦座ると自力で立ち上がって座り直す事が出来ない
日々が続きました。
排泄の介助 [排便]
座位が不安定で、腹圧も衰え快便とまでは行かない。
ウォッシュレットのワイヤレスリモコンまで手が伸びないなどで、
ワイヤレスチャイムで妻を呼び、尻拭いをして貰いました。

[排尿]
手が不自由なため、陰部を押さえる事ができず、
便器から尿が飛び出し、着衣を汚す事が度々ありました。
尿器を使用するようになってから、妻の介助の負担が
軽減されました。
また、長男、長女も最初は抵抗を示しましたが、次第に
協力するようになりました。

このような介助が必要な状況でも、ポータブルトイレ、電動式便座や紙おむつの
存在を知っていても、何故か、使用する気持ちにはなりませんでした。

歩行不可、臥床期(03年10月〜現在)<59歳〜現在>
運動機能障害(四肢麻痺、首が座らない、寝返りが出来ない)が進行し、
寝たきりの生活になりました。 
また、嚥下障害が進行し、経口摂取は一切出来ませんでした。

そのため、胃ろう造設(03年09月59歳)をしました。
それからは妻の食事の介助の負担が軽減され、
規則正しい食事が出来るようになり、排泄のリズムも安定してきました。

朝、昼、夜
  ハーモニック(300t)+その他(約100t)+白湯(300t)+黒酢(40t)
  その他:味噌汁、野菜ジュース、ココア、グルコサミン、
     アクエリアス、ヨーグルト、お茶など

寝る前:白湯(300t) 1日の合計水分摂取量:2,520t

排尿のしかた
入院中は、出来るだけ付き添っている家族に介助して貰う、
あの看護師さんには見られたくない、 「おしっこは大丈夫ですか?」 
と聞いてくれる看護師さんに頼もうなどと人を選んだものでした。

しかし、今では、どの看護師さんも患者の羞恥心に配慮しながら
快く介助して下さる事に感謝しております。

規則正しい食事が出来るようになり、排尿のリズムも安定してきました。
朝、昼、夜、寝る前の4回(400t/回)が目安です。

ベッドを平らにし、仰臥位にしてからパジャマとパンツを膝まで下げます
(パジャマに取り出し口がある場合には下げなくても良い
股を少し開き尿器を挟むように置きます。
この時、尿器の角 度は500t前後の量が出ても漏れないようにする
尿が飛散しないように、尿器の口にティッシュペーパーを挟みます
排尿が済んだら、陰部をティッシュペーパーで拭いてから、尿器を取り出します。
パンツ、パジャマを上げます。この時、腰の周りがゴロゴロしないように
しっかり上げます。(パジャマに取り出し口がある場合には上げなくても良い)
ベッドの角度を元の位置に戻します

<お願い> 密室での出来事!?
 尿器を傾け過ぎて中の水が陰部に掛かる場合があります。
 そんな時には、見逃さない(シラバックレナイ)様にし、陰部を洗浄するか、
 良く拭き取ってもらいたいものです。

排便のしかた
発病後4年頃に気管切開手術(2003年10月59歳)を行ないました。
その当時の入院中、自発呼吸は1時間位はあったので、
付き添いの妻を頼りに、車椅子に移乗しトイレに数回駆け込みました。

しかし、座位が保てない、特に、頚の筋肉が衰え頭が前屈し、
カニューレを押さえ付けるので、とても苦しくて、「紙おむつ」に
移行せざるを得ませんでした。

排便する前日(日、木曜日)の夕食時に 【ラキソベロン】 を13滴注入します。
訪問入浴日(月、金曜日)の30分前に、看護師さんが来て、
次のような手順で排便を行ないます。

新聞紙の上にフラットタイプの紙おむつ(30cm*72cm)2枚をずらして重ね、
その上に紙おむつを重ねます。それをお尻の下に敷きます。
カンチョウを人肌程度に温めてから、挿入部にキシロカインゼリーを塗布します
側臥位にして、肛門にカンチョウを挿入し、液を注入します
仰臥位にして、紙おむつを閉め、滑り止めマットを敷き足を立て、ベッドを起こします。
看護師さんは両手にPVCグローブをします。
排便後、足を伸ばし、ベッドを平らにし、紙おむつを開きます。
紙おむつから便が流れ出さないようにティッシュペーパーで止めてから、
紙おむつを引き出し、ポリ袋に入れます。
側臥位にして、摘便をします。
陰部、でん部、お尻をティッシュペーパーで拭いてから、再度、濡れティッシュ
ペーパーで拭き取ります。
陰部にタオルを掛けて、訪問入浴を待ちます

以上のような介助が長期にわたって必要ですが、
それでも、私は 
「生きたい!」 と考えています。

たった一つの大切な命だから! たった一度の人生だから!
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ALS患者の衣食住
9月20日

今日はとても清々しい気分です。毎日眺めている植木のお手入れをして
頂いた事と人の優しい心の温もりに触れたからです。

私が寝たきりになってから、隣組のSさんが定期的に植木のお手入れを
ボランティアでしてくれて、本当に助かります。

Sさんは定年退職後、植木の勉強をしてからシルバー人材センターに所属し
社会貢献されている人です。
ですから、仕事は丁寧でしかも手早く驚くほどの仕上がりです。

見慣れた庭木がお手入れによって、新しく見え、楽しい気分に変えてくれる
幸せを感じました。

そこで、今回は人間が生きて行くために必要不可欠な衣食住、
【ALS患者の衣食住】 と題して、私の現状を報告します。

 衣
運動機能障害(四肢麻痺、首が座らない、寝返りが出来ない)があり、
寝たきりの生活です。
ですから、長袖のパジャマが普段着となり、毎日着替えをします。
夏タイプ2着、冬タイプ2着、兼用タイプ6着、パンツ10着あります。
(いずれも、特価品ですよ。)

散歩や外出の際は、移動手段が専用車椅子となるためあえて着替えはしない
事にしています。

何故なら、汗をかきやすいし、誰が見ても重病人と理解出来るからパジャマが
機能的で相応のお洒落と思うからです。

これでは、センスも無く無作法者と思われても仕方がありませんね!
リハビリシューズは履かせて貰うのにとても便利です。

以上のように限られたファッション?で、とても経済的ですよ!

 食
嚥下障害(球麻痺がひどく飲食物の嚥下が全く出来ない)があり、
経口摂取は怖くて一切出来ません。
自分の唾液でさえ飲み込む事が出来ず、24時間口に排唾管をくわえ、
低圧吸引器で唾液を吸引している状態です。

そのため、胃ろう造設(03年09月59歳)をしました。
それからは妻の食事の介助の負担が軽減され、規則正しい食事が
出来るようになりました。

朝、昼、夜
ハーモニック(300t)+その他(約100t)+白湯(300t)+黒酢(40t)
その他:味噌汁、野菜ジュース、ココア、グルコサミン、アクエリアス、
     ヨーグルト、お茶など

寝る前:白湯(300t)

以上のように限られた食事?ですが、ハーモニック(紙パック200t入り)の
不思議なパワーに驚いています。
食欲と言う生理的欲求は満たされる事はありませんがとても経済的ですよ!

 住
家族が揃うリビングルームに電動ベッド【楽匠】、ベッドサイドテーブル
【伝の心)】が置いてある所が私の居場所です。
      
   我が城は  家族の声が  聞こえるぞ
        顔が見えるぞ  居心地良いぞ  

訪問看護、訪問入浴、来客などが集う生活の中心の場所です。

東側の出窓 1日の移ろいを知る
寝たきりでも眺める事が出来る東側の景色。
ゆっくりと進む夜明けの光景、1日の始まりを告げるご来光、
陽射しや吹き込む爽やかな東風、辛い事を忘れさせる
澄み切った青空、絶えず変化する白い雲などは隣が空地のために
得る事が出来る景色です。

これは、我が家の大切な財産であり、
守らなければならないと思うようになりました。

南側のテラス窓ー季節の移ろいを知る
寝たきりでも眺める事が出来る南側の景色。
庭が見え、モミジ、ドウダンツツジ、ツツジ、サツキ、ナンテン、山茶花、モチ、
モッコク、金木犀、松、椿、糸ヒバ、玉ヒバ、金キャラ、キャラ、カイヅカ、
金芽ツゲ、ツゲ、ヤツデ、カリンなどが植えてあります。

どの植木も青空に向かって成長する生命力には感動します。
落葉樹は季節感があり、特に、モミジは春には芽吹き葉が赤色、夏が緑色、
そして、南側のテラス窓の全体に木陰を作り 「
緑のカーテン」 となり、
秋が紅葉から次第に葉を落とし、冬には幹と枝だけが残り太陽の光が
南側のテラス窓全体に射し込み部屋を暖めてくれます。

このように変化する景色を見るのが、とても楽しみです。

植木は花、色や形を楽しむだけでなく、ときには野鳥や昆虫の休憩場となります。

雀、鳩、烏、蝶々、蝉、などの飛ぶ姿に見とれたり、鳴き声に耳を傾けるのもまた、
楽しいものです。

また、利根川の上空をゆったり飛行しているグライダーを見掛ける事もあります。

このように、東側の出窓は1日の移ろいを知り、南側のテラス窓は季節の
移ろいを知り、元気を貰う事が出来る場所なのです。

永年ALSを患い、在宅療養生活を送っていると、衣食よりも特に、
住環境の変化が 「
生き甲斐」 に与える影響が大きいような気がします。

冒頭に私が清々しい気持ちになれたのは、まさしく住環境が綺麗に
整理されたからでした。

妻は炊事、洗濯、掃除、庭の草むしり、その他に介護を消化し家を守ってくれます。

だから、いつも、安らぎのある住環境です。

 V(行動)=P(個性)X E(環境)

人間が生きて行くために必要不可欠な 「
衣食住」 の他に、
もうひとつ大切なものを付け加えるならば 「
家族の絆」 があります。

私がALSを患ってから、私と妻は病気と向き合い、共に闘って来ました。

そして、医療、福祉、介護の環境に携わる多くの人々との新しい出会いを力に、
触れ合いを励みに、多くのことを学びました。

また、妻は毎日のようにALSに関する情報をホームページで調べて理解を深め、
情報を共有する事が出来ました。

お蔭さまで妻は主婦役から大変身し、看護役、介護役もこなす行動が
出来るようになりました。

いつも、傍にいてくれる妻がこのような知識を身に付ける事で、
安全で安心な在宅療養生活が送れる事に感謝しております。

ALS患者は一人では生きて行く事が出来ない!
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医大生が在宅療養生活を見学
8月30日

私の在宅主治医のG医師は「後藤クリニック」、「訪問看護ステーションかがやき」、
「デイケアセンターかがやき」を設立し、地域社会の人々の健康を見守り続けています。

その上、更に、講演活動や25年間勤務したS大学医学部附属病院の講師も
されて医大生の育成にも力を注いでいます。

このように積極的に社会貢献をされているG医師から、医大生に在宅療養生活
を見学させたいと申し出があったのは05年の初夏頃でした。

G医師や向学心に燃える医大生の役に立ちたい、ALSと向き合っている姿を
知って欲しいと言う思いが強く、お引き受けしました。

そこで、私のALSの次のような 「症状と対応」 の体験をベースにし、
準備に取り掛かりました。

ALSの特徴 症状 対応
運動機能障害 四肢麻痺 車椅子、福祉車両、訪問入浴
コミュニケーション障害 会話不可 意思伝達装置、文字盤
嚥下障害 飲食不可 胃ろう造設、低圧吸引器
呼吸障害 呼吸不可 人工呼吸器、カニューレ

「闘病記録」、「闘病経過」、「自己紹介」をパソコン【伝の心】でまとめ上げ
たのは05年7月の事でした。

しかし、05年8月に訪れた医大生に全文をプリントアウトして配布しなかった事、
パソコンの読み上げ機能で一部を紹介しただけで、ALS患者の思いを十分伝える
事が出来なかった事を反省しております。

これがきっかけとなり06年3月にホームページを開設するに至りました。
闘病記録、生のデータとALS患者の思いを公開する事でALSの理解が深まる
事を願っています。

お蔭さまで、この1年はパソコンと向き合う充実した日々を送る事が出来ました。

最近では新設した 「近況報告」 の更新に頭をヒネル毎日です。
  05年8月 6人 x 4回 = 24人 医大生の見学
  06年8月 4人 x 3回 = 12人 医大生の見学

医大生の関心は上記の稀なALSの対応部分(闘病記録参照)にありましたが、
G医師は 「
在宅療養」 の重要性を感じ取って欲しいと願っていたのではない
かと思います。

患者の家庭環境により在宅療養か施設療養のいずれかを
選択しなければなりません。

宅療養のメリットは施設療養よりも費用が安い、家族の愛情を感じながら
気兼ねなく療養生活を送る事が出来る点にあります。

しかし、安全、安心を確保するための家族への看護や介護の指導をして頂いたり、
在宅介護支援ネットワーク体制を確立し、医療、福祉、介護に携わる多くの人々
に見守られ、ご支援を頂いている事に本当に感謝しております。

在宅療養か施設療養のいずれの場合でも、患者の満足を追求し、
療養環境が向上し、生き甲斐を感じられる制度を期待したいものです。
 
少子高齢化社会を見据えた健康保険制度や介護保険制度の見直しが
行なわれております。

無駄を省き、医療や介護を本当に必要とする人に与えて欲しいものです。
次の世代の医療を担う、医大生のこれからのご活躍を期待しております。
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楽しみな散歩の日
7月26日

人は誰もが独りでは生きて行く事は出来ない。
ましてや、進行性神経難病のALS患者はなお更に痛感している次第です。

在宅療養生活では家族の支援の他に、多くの社会資源の活用による
生活の質の向上が大切だと考えています。

在宅療養生活での一番の楽しみは、誰もが望まない 「寝たきり」 から
脱却できる水曜日の 「散歩の日」 です。

看護師さん1人とヘルパーさん1人で、午前9時半〜12時までの2時間半の
ご支援があるからです。

この時間だけは、妻が私の介護から解放され、
安心して買物や用事をしたり出来る唯一の自由時間です。

私も病気のことを忘れ、自然に触れ季節を知り、
生きている事の喜びを感じる時間なのです。

「散歩の日」 基本的な手順は次のとおりです。

寒い日 
バイタル(10分)→洗髪(15分)→陰部洗浄(5分)→清拭、更衣(20分)→
気切部ケア(5分)→車椅子移乗(20分)→散歩(55分)→ベッド移乗(20分)

暑い日
バイタル(10分)→車椅子移乗(20分)→散歩(55分)→ベッド移乗(20分)→
洗髪(15分)→陰部洗浄(5分)→清拭、更衣(20分)→気切部ケア(5分)

バイタル
血圧、体温、血中酸素を測定ー測定結果を患者に報告する
問診ー体調の変化、介護者の声などを聞く

洗 髪
少し大きめのビニールシート(大きなゴミ袋で代用可)を用意します
その上に新聞紙を重ね、更にその上に紙おむつ(30cm×72cm)を
3枚重ねてから、それを頭の下に敷きますまた、タオルを丸めて首に挿入します
40℃弱のお湯を、シャワーボトル(食器洗い洗剤の容器)などに用意します
耳栓を取り付けます
頭にお湯を掛けて、髪にシャンプーを浸し、よく洗います(頭皮と頭髪の清潔)
頭にお湯を掛けて、シャンプーをよく洗い落とします
紙おむつは端から順にずらして使用します
髪にリンスを浸し、頭にお湯を掛けて、洗い落とします
頭をタオルで拭いてから、ドライヤーで乾かします
耳栓を取り外す前に、タオルで周りを拭いてから、耳栓を取り外します
再度、耳穴をタオルで拭きます

陰部洗浄
新聞紙の上に紙おむつ(30cm×72cm)を1枚重ねてから、それをお尻の下に敷きます
40℃弱のお湯を、シャワーボトル(食器洗い洗剤の容器)などに用意します
利き手にPVCグローブをし、更に、軍手をします
軍手に石鹸を浸し、陰部、でん部にお湯を掛けてよく洗います
陰部、でん部にお湯を掛けて、石鹸をよく洗い落とします
陰部、でん部、お尻を蒸しタオルで拭いてから、パンツを履かせます

清拭、更衣
両足を蒸しタオルで拭きます(特に、指または丁寧に!)
パジャマ(ズボン)を履かせます
体位交換をしながら、胸、お腹、両腕、背中を蒸しタオルで拭きます
(特に、指または丁寧に!)
体位交換をしながら、パジャマ(上着)を着せます
背中に敷いてあるバスタオルを交換します
顔を蒸しタオルで拭きます
(ご注意)
 体位交換時は、カニューレや回路を乱暴に取り扱わないで下さい。
 また、頭の向きや手、排唾管の位置にもご注意ください。
気切部ケア
カニューレバンドを緩め、Yガーゼを取り外します
切開部をヒビディール液で消毒し、Yガーゼを取り付けます
カニューレバンドを締めます(締め具合を患者に確認)
カニューレのカフ量を交換します(カフ量16t)
吸引をします(気切部、サイドチューブ、口)
(ご注意)
 カニューレや回路を乱暴に取り扱わないで下さい。
 涙やタンが出て、とても苦痛です。
 回路交換は2週間ごとに行ないます。

散歩時の準備物品
楽しみの散歩の裏には準備の大変さがあります。
外出する度ごとに改善し、安全で安心な外出を楽しみたいと考えています。

福祉車両(AC100V.3A付)VOXY 遠出する場合は妻が運転します、
専用車椅子、呼び出しブザー、人工呼吸器、外部バッテリー、吸引器、
カテーテル(2本)、ペットボトル(2本オスバン液)、ピンセット(2本)、
消毒綿、低圧吸引器一式(よだれ処理用)、単1乾電池(2本、予備用)
靴下、リハビリシューズ、(アンビュー、尿器)、文字盤、タオル、
ティッシュペーパー、ゴミ袋、
 その他、天候に応じて帽子やバスタオルなどを用意します。

車椅子へ移乗
ベッドの高さを58cmにし、ベッドを平らにします
車椅子の前方から人工呼吸器を載せ、外部バッテリーを接続します
低圧吸引器の電源を固定用から携帯用に換え、車椅子に載せます
ベッドに車椅子を近づけ、ブレーキを掛け、リクライニングを平らにし、
アームレストを下げます
額に貼り付けたスイッチ、排唾管、回路を取り外します
バスタオルごと、頭と足を持って一旦ベッドの端に移動し、
それから、車椅子に移乗します
ブレーキを解除し、ベッドから車椅子を離し、リクライニング起こし、
アームレストを上げます
回路、排唾管、額に呼び出しスイッチを取り付けます
靴下、リハビリシューズを履かせます
玄関のスロープ2箇所を設置します
「散歩時の準備物品」を持って、いざ!出発です

散 歩
散歩コースは色々ですが、大体は近所を3q程度回って来ます。
車椅子での散歩をして感じる事は、道路や歩道に凹凸や段差が多いことです。

専用車椅子の申請の際にデイケアセンターかがやきの施設長が、
ショックアブソーバー付きの車椅子を提案されていました。
乗り心地や人工呼吸器を振動から守る事を考えたからです。

その必要性を感じている今、さすが、作業療法士の鋭い視点だなと
感心している次第です。

私が愛する郷土の四季の移り変わりを 「私の好きな散歩道」 で紹介して
行きたいと考えています。

ベッドへ移乗
車椅子の車輪に付着した泥などを雑巾で拭き取ります
ベッドの高さを50cmにし、ベッドを平らにします
リハビリシューズ、靴下を脱がせます
ベッドに車椅子を近づけ、ブレーキを掛け、リクライニングを平らにし、
アームレストを下げます
額に貼り付けたスイッチ、排唾管、回路を取り外します
バスタオルごと、頭と足を持って一旦ベッドの端に移乗し、
それから、ベッドの中央に移動します
回路、排唾管、額に呼び出しスイッチを取り付けます
低圧吸引器の電源を携帯用から固定用に換え、車椅子から下ろします
ブレーキを解除し、ベッドから車椅子を離し、リクライニング起こします
外部バッテリーを外し、車椅子の前方から人工呼吸器を取り出します
「散歩時の準備物品」を元の位置に戻します
玄関のスロープ2箇所を元の位置に戻します

以上のような手順でご支援を頂いております。

日頃、歩く機会の少ない看護師さんやヘルパーさんも、
自分の健康のためと頭を切り替えて、一生懸命になって尽くしてくれます。

本当に感謝です! ♪〜

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レスパイトサービス
6月23日

2006年6月13〜22日(9泊10日)まで、M記念病院でレスパイトケアを受け、
大変お世話になりありがとうございました。

お蔭さまで妻が私の介護から解放され、日頃の心身の疲労を回復し、
気分転換を図る事が出来ました。

また、日頃御無沙汰している親戚や友人への穴埋めのために、
青森、千葉、東京へと飛び回り、親睦や友好を温める事が出来ました。

長期に亘って在宅療養を続けなければならないALS患者、
家族にとってレスパイトサービスは必要不可欠な制度と常日頃から
考えていました。

自分では何一つ出来ない全介助の身体(要介護5)を、24時間365日
熟睡も出来ない介護を続けている妻、その他に家事労働を担っている
妻の健康がいつも気掛かりだったからです。

サラリーマンなら、1日8時間労働で土、日、祝日は休みです。

それに年末年始、ゴールデンウィーク、夏季休暇、
更に年次有給休暇を合わせると、年間約120日の休日があります。

つまり、2日労働1日休日なのです。

如何に介護と家事を担っている妻の負担が大きいかが理解出来ます。

この事から、患者や家族の生活の質の向上のためには、在宅療養2ヶ月、
入院療養1ヶ月の繰り返しが理想の療養スタイルかもしれない。

そのためには、長期療養の場の選択肢の拡大や入院療養環境の向上が
望まれます。

そして、介護者が疲れる前に、老介護になる前に解決しなければならない
問題なのです。

私がリピーターとして、M記念病院でレスパイトケアでお世話になる
ことを決めた幾つかの理由があります。

難病患者を受け入れる施設があり、安全で安心であること
入院前に、家庭訪問をして、患者の容態や生活習慣などを調査して、
医療、看護に反映させる
患者の要望に耳を傾け、それを反映させる熱意がある
総ての看護師が文字盤を利用出来、コミュニケーションがとれる
看護師さんは患者の病気の良き理解者であり、良き支援者である
(画一看護から個別看護)
「ほかに何かありませんか?」 と必ず聞いてくれる
ナースコールにも直ぐに対応してくれる(携帯電話に接続)
看護師が二交代制勤務のため、引継ぎが徹底される
口腔ケアや髭剃りを看護の重要な位置付けとして実施する
週1回、お風呂に入れてくれる(ALS患者は痒いのが苦手です。清潔第一!)
人工呼吸器の取り扱いや管理が良い
綺麗で清潔な病院、ホテルみたい
入退院の際、病院の救急車で送迎してくれる

このように、入院療養環境が向上している点にあります。

しかし、要望事項もあります。
それは、病室にインターネットの設備があり、パソコンで情報検索が
出来る時代が来る事を願っています。

そして、今回も難病患者を快く受け入れて下さり、その上、身体も心も
癒される手厚い看護をして頂き、本当にありがとうございました。

状況判断が適確な人、手際よく作業をする人、心の温もりを与える事が出来る人、
そんな多くの看護師さんから沢山の生きるエネルギーを頂戴し、
十分な充電が出来ました。

また、妻にほんの少し恩返しが出来た素敵なレスパイトサービス体験でした。

これからも宜しくお願いします。

<追伸>
6月17日(土)には、ご多忙中にも関わらす、在宅主治医である 「後藤クリニック」
のG医師と 「訪問看護ステーションかがやき」 のN看護師が陣中お見舞いに来て
下さいました。

何と、心強いことか! 本当にありがとうございました。

私の大切な命綱である 「人工呼吸器」 を取り扱っている(株)マルホンの
SさんとHさんが入退院の際に付き添って頂き 「人工呼吸器」 を見守って頂きました。

本当に助かります。ありがとうございました。

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口腔内のケア
6月6日

T保健福祉事務所のS保健師さんとT歯科衛生士さんが我が家を訪問して下さいました 。
       

虫歯予防週間だから訪問したのではなくて、私が人工呼吸器を装着して寝たきり
になってから 「口腔内の清潔の重要性 」を訴え、定期的に指導や口腔ケアをしに
来てくれます。

本当に助かります。

「口腔ケア」 は細菌の繁殖を抑え、口内炎や嚥下性肺炎などの二次感染を予防します。

また、虫歯の発生を予防し、歯肉を強化する事で、歯肉炎や歯槽膿漏を予防し、
口腔内を爽やかにしてくれます。

私は経口摂取は一切出来ないので、胃ろう増設をしていますが、
毎朝1回妻が口腔ケアをしてくれます。

基本的な手順は次のとおりです。

歯ブラシでブラッシング→洗浄→清拭私は寝たきり状態で歯ブラシを握る
ことも開口も困難で、全くうがいすることも出来ません。

そのため、次のような手順で行なっています。

ギャッジ・アップを30度、仰臥位、頚部を横にします誤嚥を防ぐためです
口や顎の筋肉をマッサージします(開口障害があるため)
低圧持続吸引器を口の下側にくわえます(唾液を吸引する)
子供用歯ブラシをネオステリングリーン液に浸してから、ブラッシングします。
 開口障害があるため、割り箸にガーゼを巻き付けたものを、
 指で上顎の前歯を押し上げながら、奥歯に噛ませるとブラッシングが容易に出来ます。
歯ブラシの裏側で、口の中の筋肉をマッサージします。
軟毛ブラシをネオステリングリーン液に浸してから、舌苔をブラッシングします 。
吸引器のカテーテルで、痰、唾液や洗い落とした物を吸引をします。

以上のように、「口腔ケア」は看護の重要な位置付け(病院での位置付けは?)
であるとのご指導を頂き、妻が毎日実行してくれます。

お蔭さまで、62歳を迎えようとする今、歯の悩みはありません。

また、S保健師さんには医療、療養に関するご指導をして頂きました。
また、 色々な相談にも熱心に対応してくれます。

そして、私の現在の在宅療養環境の構築のためにご尽力頂き、QOLの向上や
生きる力を貰う事が出来た私の命の恩人です。

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日本ALS協会群馬支部総会
5月27日

今年の5月は日照不足、今日も前橋は生憎の雨模様になってしまいました。

そんな中、平成18年度日本ALS協会群馬支部総会が群馬県社会福祉総合
センターの8階で盛大に開催されました。

群馬支部は1999年に全国23番目に設立されました。

役員も患者、家族やご遺族の方で構成され、とても熱心に活動されています。

患者や家族の交流は勿論の事、医療、福祉、介護に携わる人々との距離を縮め、
ALSの理解を深めています。

ALSは 「難病中の難病」 であり、私達、患者や家族は助けを求め、
すがる思いで入会しました。

そんな期待に十分に応えてくれる存在でした。
新しい人々との出会いは私の人生の宝物です。
触れ合う度に不安が解消され希望と生きる力を与えて下さいました。

■今年の総会は
 第一部
   平成17年度 活動報告、会計報告
   平成18年度 事業計画、予算案
 
  第ニ部 講演
   ALSの新しい薬の開発と臨床治験の現況
      群馬大学医学部大学院医学系研究科
       脳神経内科学教授   岡本幸市先生

   在宅生活のQOLとサービス利用
      群馬パース大学教授  牛込三和子先生

   米国におけるALS診療の実態をかいま見て
      群馬大学医学部保健学科教授 牛久保美津子先生

いずれも、専門分野の立場から研究、開発を推進し、総ては患者の満足のために、
より質の高い医療やサービスの提供を目指して、日夜努力している様子でした。

私達患者や家族にとっては、希望を持って生きる事が出来る講演内容でした。
あえて付け加えるならば、 「壁を打ち破る情熱」 と 「スピード」 が要求されています。

交流会では、井上さんが使用している人工呼吸器に話題が集中しました。
小型軽量化され重量が4.5kgと軽く、井上さんが明るくて、元気で、活動的な
秘訣のひとつを知る事が出来ました。

妻と嫁いだ長女の協力で総会に出席する事が出来、また、元気と生きる力を
貰う事が出来た、とても有意義な群馬支部総会でした。

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心と身体を癒すハープ演奏
5月21日
久し振りの五月晴れのもと、第3回 「かがやき」 コンサートにお招き頂き、
ありがとうございました。

今回は、小堀真梨さんの奏でるハープの演奏に、新築したばかりのディケアホールを
埋め尽くした約60人の観客が魅了されました。

曲目は、さくら、朧月夜、真白き富士の嶺、涙そうそう、プロジェクトXなど
親しみ易い選曲で心が癒されました。
最後に手話を交えて全員で 「知床旅情」 を合唱し、お開きとなりました。

私は演奏が終わる度に感動を表現する 「拍手」 をする事が出来ません。

こんな失礼な私をどうか、お許し下さい。

また、声を失い歌う事も出来ません。それでも、心の中で 「知床旅情」 を
口ずさみながら、妻との出会いや交際中に流行った歌で懐かしく、本当に癒されました。

このような素晴らしい 「音楽ケア」 を体験する事が出来たのも、訪問看護ステーション
KのG看護師が、ご多忙中にもかかわらず、我が家まで送迎してくれたからです。

本当にありがとうございました。

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玄関のスロープ
4月25日
今日は、JR史上最悪の惨事が起きた 「福知山線脱線事故」 から1年が経ちました。

ご遺族や負傷者の心の傷は未だに癒される事はありません。

如何に 「
安全」 が最優先され、その保証があってこそ穏やかで幸せな生活を営む事が
出来るかを教訓として残しました。

さて、進行性神経難病ALSの症状が進行して、下肢の筋力が低下し
歩行困難期には、福祉用具の車椅子、スロープや段差の解消など住宅の改修、
福祉車両などの手配が済んでいなければなりません。

何故なら、通院や外出などの日常生活活動に支障をきたさない為です。

ところが、症状が更に進行して、歩行不能、臥床期になり人工呼吸器を装着すると、
様子は激変し、今まで使用していた車椅子、スロープや福祉車両などが使用出来
なくなります。

失われた身体機能を取り戻し、生き甲斐を求め、生活の質を向上させるには、
上記のような環境整備が必要不可欠となってきます。

しかしながら、何故、症状の進行を先取りし、福祉車両やスロープが
一度で済まなかったのかを反省しています。

ここでは、特に 「スロープの改修工事」 が何故、再び行なわなければ
ならなかったのかについて説明したいと思います。

現状のスロープの問題点!
住環境コーディネーターの指示(設計?)によるもので、人工呼吸器の
搭載できる専用車椅子を確認出来ないままスロープを作った為、コーナーが
曲がり難く、何度も切り返しながら渡りました。

 そのため、後から、隅取り工事を追加しましたが、強度が弱く危険な状態です。

 <現状の寸法>
 東-西のスロープ 長さ 3,390mm 幅 960mm 片側壁有
 南-北のスロープ 長さ 2,590mm 幅 1,080mm

スロープの完成は2001年8月29日でした。
しかし、4年半経過した頃から、敷き板が腐り始め危険な状態になって来ました。
これは、材料、塗料や業者の選定に問題がありました。

敷き板の間隔が無く、雨水が溜まったり、通気性が悪い。
以上のような問題を解決するため、T保健福祉事務所のS保健師に相談をしました。

間も無くしてから、O町役場福祉課のMさんより 「家屋改造のための補助金制度」
の対象になると言う、ありがたいご連絡を頂きました。
 
早速、信頼の有る専門の業者に設計と見積りをお願いしました。

工事も順調に行なわれ、明日、一部残った塗装をして完成です。

お蔭さまで上記の問題が解決された、安全で安心なスロープが出来、
また、ひとつ生活の質が向上しました。
本当に感謝です。

明日が待ち遠しいです。寝たきりから、専用車椅子に移乗し、
新しいスロープの渡り初めをして、近所に散歩に出かけるからです。

若葉や新緑、花を目に焼き付け、春を満喫したいと考えています。

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定期入院について
3月20日
2006年3月7日〜3月14日(7泊8日)までT厚生病院に定期入院をしました。

入院の前にと訪問看護ステーションKのG看護師がボランティアでとても
上手に散髪してくれました。
        
本当に感謝です。

また、入院の際も、院内の総力を挙げて歓迎し、治療、看護をして頂きまして、
本当にありがとうございました。

今回の入院の目的は、次の4点です。

胃ろうチューブの交換(3月8日)前回の胃ろうチューブの交換は2005年9月28日でした。
 透明のチューブが茶色に変色し、栄養が流れにくくなったり詰まったりします。

その場合は、チューブの端から順に搾り出すようにします。
また、チューブにお酢を満たしておくと汚れ難いようです。

胃ろうチューブの交換は、外科医師によって10分程度で終了しましたが、
朝と昼の 栄養を抜いたので、さすがにお腹がすきました。

看護師さんの思いやりから、いつもより1時間早い夕方の栄養が始まりました。

歯科検診(3月9、13、14日)口からは、一切飲食していないのにもかかわらず、
 半年も経つと歯石が溜まります。

口が開け難くなったので、開口器を使用して右側半分と左側半分を分けて丁寧に、
綺麗に歯石を除去して頂きました。

お蔭さまで口の中がすっきりしました。
口腔ケアはとても大切なこと。

歯科衛生士も定期的に我が家を訪れ、指導して下さいます。
指導に基づき、妻は毎日ケアしてくれています。

口を大きく開ける訓練が行き届いた口腔ケアに繋がるとK歯科医師は
力説されました 。

耳鼻科検診耳に水が溜まり、聴力が低下したので2004年9月2日(60歳)に
 鼓膜にシリコン チューブを挿入する手術を行ないました。

定期入院するたびに、手術後の経過を診てもらっています。
シリコンチューブの周囲に耳カスが付着していると言うのです。

耳カスを取り除くとシリコンチューブも外れる可能性がある事から、
経過を見守る事にしました。
聴力に何ら支障がなかったからです。

妻の介護休暇定期入院は妻が私の介護から解放され、休養や旅行など
 自分のための時間を持つことです。

ところが、7泊8日中、5日は病院に来て私の世話をし、2日は実家のある
宮城県に行き、日頃のご無沙汰の穴埋めをして来ました。

残りの1日はお客さんの対応でした。

てな具合で休養どころか、返って忙しかったようです。
改めて、レスパイトケアを利用させて頂きたいと考えています。

以上の他に、人工呼吸器の定期点検もあって、(株)マルホンのSさんとHさんが
入退院の際に付き添って頂きました。

本当に助かります。ありがとうございました。

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