白馬岳大雪渓スキー滑降
ゲレンデスキーは得意な方であるが
山スキーは経験したことはなかった。

山の経験豊かな友人S・F氏から
誘われ「白馬岳」山頂からスキー
滑降に臨むことになった。

一度目は「猿倉」まで行ったのに
天候が悪く引き返し、再度挑戦した
日は絶好の天気に恵まれた登山日和
りであった。

重いスキー靴とスキーをザックに
くくり付けの出発である。

「猿倉」から林道を歩いて約1時間で
「白馬尻」に到着する。

目の前には初めて見る「大雪渓」が
延々と続く見事な風景である。

いよいよ大雪渓の登りが始まる。

アイゼンなしの登山靴の為、
一歩一歩雪を蹴り付けるよう
にして登る。

杓子岳からの落石が「大雪渓」
の所々に散在していた。

その石が雪が溶けて再び転がり
落ちる場面もあり、まさに上を
向いて歩かなければ危険な状態
もあったが、歩いて汗ばむ体を
爽快な涼風が和らげてくれた。

「葱平」「村営山頂宿舎」「白馬山荘」
までスキーを運び、そこで荷物を降ろ
してから山頂まで辿り着いた。

山頂には雪が無かったためである。

「白馬岳」山頂から望む北アルプスの
山々と360度のパノラマは残雪と新緑
からなる2段景色の見事な風景であった。

約6時間かけての踏破の苦しみも直ぐに
吹き飛び、心地よい達成感に変わった。

いよいよ「白馬山荘」から「大雪渓」
を経て「白馬尻」までのスキー滑降の
始まりである。

広大な雪原に思い思いのシュプールを
描き、景色を眺めながらのスキー滑降
はゲレンデスキーでは味わうことので
きない醍醐味があった。

しかし、散在する落石を避けての
スキー滑降は十分な注意を要した。

「白馬尻」までのスキー滑降時間は
20分程度であった。
スキー滑降が終わってスキー板の裏面を
見ると落石の上を滑った傷跡が数多くの
残されていた。

山スキーは古いスキーを使用するに
限るとその時初めて思った。 

春の快晴の日の登山は「山は残雪」、
「里は新緑」で2つの季節が一緒に
見られ、雄大な自然を心行くまで
満喫できました。

この経験が、後に谷川岳(芝倉沢)、
西吾妻山、至仏山もスキー滑降する
ことにも繋がった。

スキー登山の楽しさを教えてくれた
友人のS・F氏に感謝しています。